味覚センサーを開発した著者による開発にまつわる味覚の不思議。開発したセンサーを利用した味認識装置による様々なものの味の探求が綴られています。
都甲 清著 ソフトバンククリエイト株式会社刊
プリンに醤油でウニになる
味覚センサーが解明した仰天の食の謎
2007年9月24日 初版第1刷発行
ISBN978-4-7973-4124-9
テレビ番組などでご覧になった方がいらっしゃるかもしれませんが、仰天食材の組み合わせで舌は騙されてしまい、全く違う食品の味を感じてしまう…。そんな原因が味覚センサーで明らかにされてゆきます。
人間の味覚は舌で感じる以外に、臭い・香りや、食品の物理的形状やしょの食感などでも左右されます。また、見た目で左右されてしまう場合もあり、実際はあやふやなファクターがかなり存在します。
風味という観点ではなく味(味覚)という観点で取り上げて分析・紹介しています。
そこで仰天の組み合わせ
牛乳+酢=ヨーグルト
このあたりは、まだ、なんとなく想像付きますよね。酸っぱい牛乳だからヨーグルトかな、と。
麦茶+牛乳+砂糖=コーヒー牛乳
だんだん怪しくなってきます。そうかな・・と、思いたくもあり思いたくも無し。
ヨーグルト+マヨネーズ=クリームチーズ
いや、確かに酸味の残ったチーズで柔らかいですが。
醤油+プリン=ウニ(安物?)
え?ホント?
いや、ウニを食べた事が無いから言うわけでは(笑)ありません。
ミカン+のり+醤油=イクラ醤油漬け
うぎゃ〜!っと叫びたくなります。でも目隠しされると判らないそうです。
その他、仰天の組み合わせが紹介されていますが、実際に味覚センサーで測定すると非常に良く似たパターンを検出するそうで、人間の舌が騙されたわけでは無く、そう感じている用な味になっている事は間違い無さそうです。
さて、ここで風味と言わずに味と記述を続けている点にお気づきかもしれませんが、これは風味=味覚では無いと私は思っているからです。
臭いの要素はかなり味わうために大きい要素であり、鼻をつまんで食べるとマグロとヒラメの造りの違いも判らなくなるぐらいですので、舌で感じるだけが味ではないという事です。
もっとも、著者はこの点にも言及しており、臭いセンサとの複合で風味を検出できる、現状の味認識装置の上位のモデルに野心を燃やしているようです。
図書館に予約を入れました。
後半はいろいろな食品の味覚マップが掲載されており、「へぇ」とか「ほぉ」の連発です。もちろん日本酒とビール(発砲種類なども含む)も!
口当たりや舌触りなどを主として測定する、お米の食味測定器とはちょっと違うようで、味のみの測定となっています。それでもいろいろな食品の客観的な味の指標ができるということは、すごい事になったものだと、つくづく感じます。