普通は「まむし」と耳にすると蛇の蝮(まむし)を連想するのですが。
「まむし」(または「まむしどんぶり」)
ゲテモノ屋で出てくるメニューではなく、うなぎ屋で出て来るメニューの中にあります。
古くは「まぶし(どんぶり)」と称されていたのが訛ったものでしょう。古くは守貞漫稿に鰻飯の事を京阪では「まぶし」という記述があるそうです。「まむし」と言えば、図のように、ご飯の中に埋めてうなぎが敷き詰められている鰻丼の事を指します。埋められたご飯の中で蒸される状態がまむし(真蒸し)という説もあります。
初めて「まむし」を頼むと、うなぎが無い!と大騒ぎになりそうですが、ごはんをほじくくり、めくってゆくと中からホカホカのうなぎが顔を出します。間違っても蝮の蒲焼きは入っていませんので心配は無用です。
店によっては「まむし」を頼むとご飯の上に1切れ2切れ申し訳程度で蒲焼きが載っており、客から「お〜い、うなぎ入ってへんで〜!」と言われるのを回避する工夫をしている場合もあるようです。
ちなみにこのご飯の上にはうなぎが全く見当たらない「正統派まむし」は大阪では「いづもや」千日前店で食べる事が出来ます。
いづもやのお品書き
3月末日で閉店
[参考文献]
牧村史陽編 講談社学術文庫 大阪ことば事典第13刷
マムシ(名)の項の記述を参照
2008/02/13 追記
いづもやのお品書き写真を追加しました。
2008/04/17 追記
いづもや閉店の写真を追加しました。