今年はダーウィン生誕100年にあたるそうです。
四方哲也著 講談社刊
眠れる遺伝子進化論
1997年3月19日 第1刷発行
ISBN4-06-206195-3
進化論そのものも時代とともに進化しています。また生物の起源を探る研究も遺伝子などを解析する分子生物学などにより大幅に理解が進んできました。
ここで、検証すべきは進化論の考え方そのもの。
「自然淘汰」と「適者生存」という根幹を成す考え方が果たして正しいのだろうかと言う疑問からスタートし、それを実験によって検証します。
特に自然淘汰説について、優れたものが生き残るという点について著者は大きな疑問を抱き、それが本当かどうかを実験します。
優れた遺伝子を持つものが生き残るという自然淘汰の考え方だけでは、現在の生物種の多様性を説明できないのです。
また、適者生存と言うキーワードも実は万能薬みたいなもので、生存に適したから生き残ったという説は、裏返してみれば生き残っているからこそ適者だったという言い方もできるわけで、後付の理由としてはなんとでも言い訳できる点が、理論としての欠陥ではないかと言及しています。
最終的には、相互関係により生じる共生関係が生まれ、優れているから生き残る、劣っているから絶滅するという単純な説明では無理な世界の現状が説明できない。淘汰を生き延びてきたのは優れた証拠だとは言えない。そんな疑問について考え検証していきます。
ラマルクの説が否定されたように、ダーウィンの説が否定される日が来ることがあるかもしれません。