地下鉄の架電線。
第三軌条(一番奥の部分)
撮影場所:大阪メトロ御堂筋線・東三国駅
大阪メトロの保守工事中でいつもは木製のカバーで覆われている第三軌条(サードレール)が露出して見えています。一部残っている右側は10両編成の停止位置を示す標識を残すためでしょう。
第三軌条方式は地下鉄のようなトンネルを主体とする路線で設営時にトンネル断面積を上部から給電する架線方式に比べて小さくできるためトンネル掘削コストを圧縮できることから採用されている給電方式です。
架線と違いしっかりとしたレール様のため導電レールとも呼ばれます。導電レールには電気抵抗の低い低炭素鋼が使用され車両はここから集電靴(しゅうでんか)と呼ばれる装置で導電レールの上面から集電(上面接触式)します。
導電レールは走行軌道に近い事から電圧も架線式の給電よりも低い電圧を使用します(大阪メトロは750V)。そのため今以上の長編成には大電流による電圧低下や変電所の給電が対応しきれない事も予想され御堂筋線は10両編成が事実上の限界でしょう。車両側も高効率のモーターや制御回路などで使用電力の改善はなされていますが1500Vへの高電圧化がなされていない現状では限界があります。
高電圧化も技術的にはできない事では無いのでしょうが、現状では移行にクリアする要素が多数あり、それらの対応には多大な金額と時間がかかる事に加え国土交通省からのガイドラインで第三軌条の利用には高い電圧が示されていないため、高電圧化にはこちらの法整備が先に行わなければ実現できず当面のところ無理そうです。