警察官巡回所みたいな

 誰かが定期的にやって来る。

たちより処
 たちより処

 常連客が定期的に訪れる場所と言えばまさにその通り。
 居酒屋と言わずに会えて立ち寄るための場所としているのは気軽さを演出しているのでしょうか。まあ実際に立寄りたい人は多そうです。
 アニメ化された消防レスキューの漫画がありますが「め組」と冠されています。東京消防庁なので江戸火消しからの名付けでしょう。
 実際に江戸の町火消しはいろは四八文字を冠しており江戸府内をそれぞれの地域担当していました。ただし四十八文字の中の「へ」「ら」「ひ」「ん」は用いられず、それぞれ「百」「千」「万」「本」に言い換えられています。いろは四十八組は隅田川の西側を受け持ち、あまり名前が知られていないかもしれませんが東側の本所・深川は深川本所十六組が担当しており、こちらの組の名前は数字の壱から十六を割り振っています。
 「め」組は大きな括りで二番組に属していて担当地区は桜田久保町、兼房町、二葉町、源助町、露月町、神明町、増上寺中門前辺、浜松町、芝口辺となっています(享保7年壬寅:1722年の割振り)。
 町火消は完全なほぼボランティアに近い薄給で費用も公費ではなく担当町内で負担しています。平の火消で450〜800文、一番給料の高い纏でも2〜3貫文だったそうで1貫文(1000文)を現代の金額に変換するには諸説ありますが、ここでは約2万円程度として換算すると9千〜1万6千円、4万〜6万円となりそれだけでは生活できないほど低い金額です。実際にはそれぞれ鳶職などの手持ちの本業を持っており、火事の時だけ駆けつけるアルバイトのようなものでした。
 それでも現在のように放水して消化する事がほぼ無い当時は建物を壊して延焼を防ぐという破壊消防を行なっており鳶や大工などは建物に精通していることから近隣の建物を迅速に破壊することができたのです。
 火事の際に積極的消火ができなかった当時、燃え盛る建物に向かって飛び込んで行って作業をする火消達はその勇敢さから人気が高く、特に纏持ちはそこから先は延焼させないための場所として盛んに燃え盛る炎の前であっても一歩も引く事がありませんでした。もし一歩でも下がってしまったとしたらその纏を持った組の恥であり消火を諦めた意思に通じるため決して下がるこ事なく、実際に延焼を防ぐ事が出来ずに火中に落下して命を落とす事すらあったそうです。
 め組は力士と町火消の喧嘩騒動で講談ネタや歌舞伎の戯作としても取り上げられ有名な組です。近年では暴れん坊将軍で登場することから特に知名度を上げ、江戸火消しと言えば「め組」のようになってしまいましたが実際は多くの組があったのです。
 ちなみに「め組」の持つ纏は鼓胴を形取ったもので、「い組」は芥子粒と升で「けします」の洒落を当てたものです。

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