完成して運用開始のUSB DACのオペアンプ取り替え試聴してみました。
MUSES 8820
バイポーラ入力(MUSES 02の弟分)
キラキラとした明るめの音でした
MUSES 8920
J-FET入力(MUESE 01の弟分)
しっとりとした傾向の音でした
いろいろオペアンプを取り替えてみたのですが、まずはMUSES 8820/8920に落ちつきました。
試したオペアンプはOPA2134PA、NJM4558DD、NJM4580DD、TL072、TL4558、NJM5532D、LME49720などなど。手持ちのオペアンプを一通り試した事になります。周辺回路は前回のままですので、入力を47kΩで受けてほぼ10倍の非反転増幅を行い、出力には33μFのMUSE BPコンデンサをカップリングしています。
出力にはLINKMANの10kΩ(A)の2連ボリュームとシリーズに100Ωの抵抗を入れています。これはUSB_DOUT2706kitの説明書内にあるアンプ回路と全く同じですので回路図はそちらの説明書をご参照ください。デジットBlogの製品紹介ページはこちら。
試したオペアンプたち
それぞれの内部回路構成やスルーレートが異なりますので当然、音も変わってきます。聞いた時の印象をちょっとまとめてみました。あくまでも私個人の印象ですのでその点をご留意・ご理解ください。
NJM4558 (バイポーラ,PNP入力)
いわゆる汎用オペアンプのスタンダード。低雑音選別品。ツヤ無し。
スルーレート 1V/μs、GB積 3MHz。
小型家電品の内蔵スピーカーで聞いたようなこもった感じの音になりました。まあ、これはこれで味があるかと。モノラル感が否めないのがあります。
NJM4580 (バイポーラ,PNP入力)
オーディオ用と銘打ったオペアンプのスタンダード。低雑音、高利得帯域、低歪実率(0.0005 typ.)。
低雑音選別品。
スルーレート 5V/μs、GB積 15MHz。
低歪率で高音質という謳い文句なので、さすがにNJM4558に比べて解像度や広がり感が上がるのですが、なんとなくまろやか過ぎなイメージです。
NJM5532D(バイポーラ,NPN入力)
低雑音、高性能オーディオ機器用。
スルーレート 8V/μs、GB積 10MHz。
高域の伸びはさすがにスルーレートがある分出ますが、逆に強調されすぎた印象で聴き疲れするようです。逆に低音の出方が上記2つに比べて弱いかも。
ギター・エフェクターならこのくせがかえって味になりそうです。
TL4558P (バイポーラ,PNP入力)
Texas Instrumentsの4558、レーザーマーキング・艶あり。
スルーレート 1.9V/μs、GB積 3MHz。
NJM4558と同じ4558を名乗っていますが別物の音。伸びも艶もあり、大変スムースな音を出します。びっくりでした。
本家となったTexas Instrumentsでは元祖であるRaytheonの型番と同じRC4558を出しているのですが、TL4558はたぶん絶版。
TL072CP (Pch J-FET入力)Texas Instrumentsの072。
ギター・エフェクターの世界では一般的な072。
スルーレート 13V/μs、GB積 3MHz、THD 0.003%の低歪率。
(1) スタンプのマーキング・艶なし
たいへん素直な音です。やや高音がきつめな印象がありますが総じておとなし目です
(2) レーザーマーキング・艶あり
特に差異は認められません。というか私には聴き分けられないです。
(3) レーザーマーキング・艶なし
先の(1)(2)と比べて明らかに差があります。ドンシャリになります。小音量で楽しむ分には良いかもしれません。
NJM072D(Pch J-FET入力)
新日本無線のリリースする072。スタンプマーキング・艶あり
スルーレート 20V/μs、ユニティゲイン 3MHz。
メーカーの推奨用途の順が「通信・計測等の産業分野をはじめとして音響等の分野にも広く
御使用いただけます」と音響分野の登場順が遅いせいか、ややくぐもったような音になりました。低音域がかぶったような音になってしまい、いまひとついただけません。
LME49720NA (バイポーラ入力)超低歪率、高性能Hi-Fiオーディオ用。
スルーレート±20V/μs、GB積 55MHz。THD 0.00003%
そもそもHi-Fiオーディオ向けと銘打ったオーディオ用オペアンプ。このあたりになるとMP3でエンコードした音楽を聴くと粗が聞こえてしまいます。
人気のあるオペアンプのようで解像度も高いのですが、かなりフラットなイメージ。色が無いというか癖がないので万人向きの感じです。
OPA2134 (FET入力)超低歪率、低雑音、高性能Hi-Fiオーディオ用。
スルーレート 20V/μs、GB積 8MHz。THD 0.00008%
最近流行の?オーディオ用オペアンプ。Bar-BrownブランドですがTexas Instrumentsからリリースされています。
初めにUSB DACを聞き始めたときの印象と全く同じ。もっさり感があります。こう、霞の掛かったような音と言えば良いのでしょうか。中域の上下にドロップのある印象で、フラットなのでしょうがLME49720に比べて明らかに物足りない音がします。
と、まあ、半日掛けてオペアンプをとっかえひっかえして聴いたのですが、いわゆる高級オペアンプ(1台ン千円とか)いうものではなく、比較的コストパフォーマンスの高い普及価格帯から一般品といえるものばかりテストした事になります。
意外だったのがTL4558およびTL072CPの艶ありレーザーマーキングと現行品ではない古いデバイス。いわゆるヴィンテージパーツというのを求める人が存在するのがわかった気がします。同じ型番でもそのときのプロセス、マスクで作られたデバイスにしか存在しない音があり、それを求めるのでしょう。
とりあえずオペアンプは好みの問題ではありますが、MUSES 8820とMUSES 8920を気分で取り替えて使うことになりそうです。