商売繁盛で笹持って来い!
戎さまのお祭りである十日戎は大阪では9日に宵(よいえびす)、10日に本戎(ほんえびす)、11日は残り福(のこりふく)と称して、この3日間が大変賑わいます。
十三神津神社の十三戎(とみえびす)
富(とみ)に十三(「とみ」と読ませる)をかけて大変賑わう
大阪の正月十日は「十日戎」と称しまして、商売繁盛を願う祭が執り行われます。大阪では「えべっさん」と称して、今宮戎神社で行われる十日戎が大変有名です。所要があって十三近くまで来たため、気になる出店もあり、十三神津神社の十三戎に行ってみました(実際に行ったのは宵戎の9日)。
福娘が福笹を授与(たいがいこの笹も有料)、そこに縁起物(小宝という。当然これも有料)をつけてお参りをし、商売繁盛を願うわけです。浅草寺の仲見世では年末に売っているような「くまで」もえべっさんで売っています。
この戎信仰は江戸時代の初期にもすでにかなり大々的に行われていたようで、特に商都大坂では商売にかかわる神様として、すでに大変盛大に祭事が行われていたようです。現在では今宮戎神社では毎年参拝者が百万人を超えるという報道がされるほどの人手があり、下世話なようで恐縮ですが集まるお賽銭も相当なようです。
神社でお祭りというと出店が出ていろんなものを売ったりしているのですが、その中のひとつに不思議な出店があります。その名も「東京コロッケ」。これは東京の夜店では全くなく、大阪にしかないという不思議な出店です。別に東京由来でもなさそうなんですが。
昔はパチンコ台が置いてあり、お金を払うとパチンコ玉をもらいまして、それを台で打ち、パチンコ玉が入った穴の番号を言うと、串でその数だけ揚げたての親指の頭大のちいさな丸いコロッケをその数分の個数を突き刺して串刺団子状にします。さらにその横のバットににあるソースにたっぷりつけて出来上がり。串揚げの変り種・夜店版と言ったようなものです。
パチンコ台は「子供の教育に良くない!」とか言う偉い先生のせいか知りませんが,いつの間にやら割り箸のようなものを使った籤になってしまいましたが、システムは全く同じ。引いた籤に書かれた数だけコロッケをいただけるというシステムです。串カツ・串揚げと同じウスターソース系のソースが後味を引きまして、コロッケの中身はジャガイモだけなのですがなかなかオツな物ですよ。
この東京コロッケ、かなり限られた地域に出るようで、大阪の夜店ではどこでもある・・というものではないようです。きっと開業当時は「東京」とつけるとハイカラな感じがして売れたのでしょう。いつも参照させて頂いている「大阪ことば事典」にはこの項目が無い事から、昭和の戦後も遅くか中・後期から現れたのではないかと推測されます。