今回は開催日程と忙事の予定とが重ならなかったため参加。
製作体験会会場
共立電子産業 本社1Fセミナールーム
会場の様子
今回は1日目の出足は人数が少なかったのですが、午後を回ってから参加者が増えて昼下がりはほぼ満席。2日目は机一つに二人掛けで朝から定員いっぱい近い状態でした。
初心者の参加者の方が少なかったのがちょっと気になりますが、フルデジタルアンプのキットやギター・エフェクターのキット、ヘッドホンアンプのキットを製作される方が少なからずいらっしゃいました。
最近の傾向としては、デジット店頭での一押しもあるのかもしれませんが、ヘッドホンアンプを製作している方の比率が高いのが目立ちます。
電流帰還型パワーアンプ
今回の圧巻はなんといってもこの電流帰還型パワーアンプ。もう、プロの仕事です(実際に業務として電子回路の設計・製作もされていらっしゃる方の作品)。フロントパネルはシンプルながらスタイリッシュなアクリルパネルを配したコンソール。アクリルパネルの加工はネットで外注する凝り様。
制御基板
ボリュームは抵抗型ロータリーエンコーダーを用いたソフト制御のボリューム。そのボリューム制御も電子ボリュームのデバイスを使った定番な方法ではなく、抵抗ラダーを用いてその値をリレーで変更するハードボリュームを採用し、それをPSoCを用いてソフト制御を行うというハード&ソフトのてんこ盛り状態。
電流帰還型パワーアンプの欠点とも言えるスピーカー未接続や過電流などの故障につながる機器トラブルを未然に防ぐための保護回路・保護制御が満載です。スピーカーが未接続状態であればパワーアンプ部の電源が入らないのは当たり前として様々なプロテクションを施した処理・監視回路が組み込まれています。
これはソフトウェア制御にも当てはまり、電源オンの後の電源ユニットの遅延通電に止まらず、音量はいきなり設定音量になって出るのではなくミュート状態から設定音量まで段階的に上がるという制御が行われています。
ハードウェアは極力シンプルに、制御や安全確保はソフトウェアというコンセプトが徹底していて、抵抗ラダーによる音量調整のリレーは多数に及ぶためポート数が足りないのを補うためにHC595を用いたシリアル〜パラレル変換を用いてリレーを駆動しています。
とにかく仕上がり、内容、コンセプトとも含めて皆がうなる仕上がりの作品でした。
音響特性補正システム
さらに病膏肓な状態なのが、実際に電流駆動でスピーカら出力された音をマイクで拾い、その音響特性のフラット特性から外れた部分を打ち消す逆方向の補正をかける音響プロセッサを使うシステムもご持参されていました。
これにより、写真にある小さなスピーカーシステムで信じられないような低域まで豊かな音が再生されます。さすがにここまでくると、ある意味ビョーキです(笑)。いや、もちろん褒め言葉ですけど。
平衡入力ヘッドホンアンプ
前回より製作を続けていらっしゃるヘッドホンアンプ。通常の不平衡入力を不平衡〜平衡変換基板を通して平衡信号に変換し、TPA6120を使ったハイエンド・ステレオヘッドホンアンプキットに入力してモノラル使いをしています。そのためヘッドホンアンプ基板は2枚あります。電源もトランス電源をショットキーバリアダイオードでブリッジ整流、LM317/LM337の可変タイプリニアレギュレーターで正負電源を作って給電。
今回の2日をフルに活用して完成に至っていらっしゃいました。合わせてヘッドホンのケーブルもリワイヤリングと精力的に製作されています。
LXA-OT1改造ほか
LXA-OT1のオペアンプを換装すべく改造をされた基板。オペアンプソケットをリーフスプリングタイプから丸ピンタイプに変更し、スタックを重ねてシングルオペアンプデュアル変換基板を用いていろいろなオペアンプを取り替えて楽しめる改造をされています。
PC859のCANタイプの他OPB627のCANなど様々な「高級オーディオ向けオペアンプ」を試すための環境を作っていらっしゃいました。さすがに私にはこの財力はありませんので垂涎の状態です(苦笑)。
その他、PC2906のA/DおよびD/A基板と電源基板のほかプリアンプ基板などデジタル系オーディオのスタート環境を鋭意製作されていらっしゃいます。
今回は根強い人気のギターエフェクター関連の製作も目立ちました。
デジット謹製ディストーション
LM308のCANタイプパッケージ(LM308AH)を使った人気のディストーション。私も製作して何人かに試奏してもらいましたがどなたにも絶賛のキットです。元回路はRATというのは内緒ですが、DoD改造をされている強者もいるというMOD好きにも受けるキットです。
プリアンプ(トーンコントロール回路つき)
「ド素人のためのオリジナル・エフェクター製作」に掲載の3EQ CONTROLLERを製作されています。BASS/MID/TREBLEのトーンコントロール回路が入ったプリアンプ。自宅のギターアンプの不甲斐なさを補うためにある程度音補正を掛ける事ができるプリアンプが欲しかったそうで、ユニバーサル基板からフルスクラッチで自作されていました。
製作途中からスタッフのお一人がべったりフォローで、無事完成。
その他、「ROLLYと作るギターエフェクター」に掲載のエフェクターを作る方など、ギターエフェクター自作というプレイヤーの方は確実に増えていらっしゃるようです。
私はエフェクターを作るもののギターは弾きませんがなにか?(苦笑)
今回は結構深刻なトラブルでなかなか実働しない製作物をしていらっしゃる方がおられまして、そちらのトラブルシューティングとフォローをされているスタッフの方が親身に対応されており敬服の限りです。
私の場合はいつもの通り黙々と自己完結なのでほぼ放置プレイ状態(笑)。会場の設備利用も含めてお世話になりっ放し状態であり、誠に申し訳ない次第です。
会場の設営や清掃・機材類の設置・撤収などご苦労様です。毎度で申し訳ございませんがこの場を借りて御礼申し上げます。
今回はすごい作品がありますね
見たかったです。残念(-_-)
>mithrillさん
あの電流帰還アンプは凄かったです。
Rラダーのボリュームをリレーで駆動しているのでエンコーダーのボリューム回すとカチカチカチカチという音がするギミック的な仕掛けがマニア受けしたようです(笑)