客側か店側か。
わがまま料理
「わがまま」とは”他人のことを考えず,自分の都合だけを考えて行動する”だそうです。さて、わがままなのは客なのか店なのか。
客をわがままにさせる「お客様は神様です」というフレーズがありますが、これの元は三波春夫師匠ですが広めたのは漫才トリオのレッツゴー三匹。
さて、その真意はというと「お客様」とは聴衆の事で、決して飲食店やショッピングの一般客ではないという事。ましてや商取引き上の相手などではありません。
三波春夫のオフィシャルサイトからの引用になりますが
『歌う時に私は、あたかも神前で祈るときのように、雑念を払って澄み切った心にならなければ完璧な藝をお見せすることはできないと思っております。ですから、お客様を神様とみて、歌を唄うのです。また、演者にとってお客様を歓ばせるということは絶対条件です。だからお客様は絶対者、神様なのです』
とあり、決して客のわがままを聞く事が正しいという意味合いは欠片もありません。
昨今のクレーマー客はこの真意を取り違えており「お客様=神様=絶対者」という点で対等の関係ではなく限りなく上位の存在だと思うことで何を言っても何をしても許される存在であるという行動をとるわけです。全く勘違いも甚だしいことこの上なしです。
三波春夫師匠はちゃんと対価とサービスという理念の上でお客様は神様だと思って藝を見せることこそ必須条件であるという思いで発した言葉だったのです。
とかく偉人の言葉でも宗教でもなんでもそうですが、出典はどうであれ自分の都合の良い方向・理由に解釈して他人に押し付けるのは今も昔も変わらず。真意を知らずしてその言葉のワンフレーズだけが一人歩きしてしまっており、大変残念なことに用いられるようになってしまっているのが実情です。
店側がわがままだったとしても、お客様は神様だと思って心を込めて料理を作る。そんなお店だったら良いのではないかと。