私の見立てに間違いがなければ、かなり危険な植物のはずです。
実は道端の地域の人と思われる方が植えられているプランターに、堂々と生えていますが、チョウセンアサガオの一種と思われます。花が漏斗状の見栄えのする大きいものが咲くため、園芸植物としても栽培されることが多いのですが、大変危険な植物です。
タヅラ属に属するチョウセンアサガオは、種子や果実に特に多く存在し、葉や花、根を含む全体に有毒成分であるl-ヒヨスチアミンやスコポラミンといったアルカロイドが含まれています。
これらによる致死作用もしくは鎮静・催淫作用が問題となっており、全国でも毎年多くの誤食などによる中毒が報告されるぐらいなのです。
中毒症状としては、瞳孔の散大、口の渇き、心拍促進など、副交感神経興奮遮断作用があり、大量に節食してしまうと昏睡や痙攣などの後に死にいたる危険性があります。
このプランターの1本の量で十分、死に至る量の有効成分が得られてしまいます。
もちろん、中世ヨーロッパでは毒薬の元として利用されていたチョウセンアサガオ。お仲間の植物にはマンドレーク(マンドラゴラ)があると聞けば、危険さはお解りいただけるでしょうか?
含有成分のアトロピン前駆体のヒヨスチアミンは医薬品としてのアトロピン(硫酸アトロピン)もあり、サリンの治療薬・拮抗薬として用いられることもあります。まさに毒をもって毒を制すです。
また、瞳孔を散大させるため、女性の目を大きく見せるために点眼薬で使用されていた歴史を持ちます。
とにかく、園芸植物として栽培されたり販売されている事が多いようですが、実際はトリカブトやジギタリス等に匹敵する毒草・・。
まあ、知らぬが仏。あ、そちらは曼珠沙華(彼岸花)ですか?
おおぉおぉぉぉ~
毒植物!
ところで・・・マンドラゴラって実在の植物なのでしょうか?
想像のモノかと思っていましたが。
「犬」を犠牲にして収穫するなんてことが、岡田のんちゃんの黄昏劇場に出ていましたね。
はい、マンドラゴラまたはマンドレークは実在のナス科の植物です。アルラウネもマンドラゴラの根の事です。
一般的にマンドラゴラは想像上の植物とごちゃ混ぜになってしまっています。
植物としてのマンドラゴラは根にアルカロイド類を持つ薬効植物(当然量を間違えると毒に)の事なのですが、ヨーロッパでは想像上の植物としてもてはやされるようになったようです。
実際に根はY字型に二股になる例が多くあるそうなのと、根から得られるアルカロイドの作用で、幻覚等が生じる事もある事から、魔女の薬としての伝説が生まれたのではないでしょうか。
今回の記事中のチョウセンアサガオは、同じ成分を含むその他のお仲間にベラドンナ、ヒヨス、ハシリドコロがあり、非常に危険なタイプの植物群の1つなのです。
また、華岡青洲の麻酔薬「通仙散」の原料としても知られています。
でも、これ、一般道の道端にあるプランターで植えられていたのですが・・・むむむ。
うちの近所でも植えてあるのをよくみかけます。
エンゼルストランペットもこの系統ですよね。
「毒持ちなのにかわいい名前だなあ」と思ったのですが、
天使のラッパは世界の終わりに吹き鳴らされるのだそうで。
はい、その通りです。エンゼルトランペットもチョウセンアサガオの一種です。花とか茎、葉を炒めて食べるとアウトです。種や果肉も同様です。チョウセンアサガオ類は根もゴボウに似ているため誤食する可能性もあります。
>天使のラッパは世界の終わりに吹き鳴らされるのだそうで。
暗示するものがありますね。それが、消灯ラッパぐらいなら、かわいいのですが。
そういえば手塚治虫のリボンの騎士のアニメでは、天使のチンクがオープニングで常にラッパを鳴らしていましたね。かなりシニカルな意味だったのかもしれません。