三朝温泉からちょっと移動した所にあります。写真家の土門拳によりかなり有名になりました。
参道入口の鳥居
すでに一般道と化している
国宝の奥院である通称、投入堂(なげいれどう)までの修行の道が始まります。
以前は境内に至るまでに拝観料は必要なかったのですが、世界遺産にしようとか言う、お題目が原因か知りませんが、投入堂に行く入山口のある境内に入るまでにすでに拝観料を別に徴収されるようになってしまいました。せちがらくなったものです。まあ、訪問した日は観光バスで団体が乗り付けるぐらいですので、儲かる口は見逃さないって事でしょうか。
参道階段
この階段は全くもって屁の突っ張り程度でしか無くもっと厳しい山道が待っている
さて、山岳信仰としての天台宗三徳山三佛寺(みとくさん・さんぶつじ)ですが、奥院に至るまでの山道が修行の道となります。
拝観料とは別に登山事務所(!)で、さらに入山料を支払います。う〜ん…。
三徳山入峰修行受付所
ここで住所氏名および入山時間を記帳して下山すると確認させられる
実際は修行の体裁を採っていますので、輪袈裟を貸与されそれを掛けて登る事になります。
修行道としての参道ですのでかなり厳しい難所が多くあり、実際に天候が悪くて入れない事も今までありました。また、しっかりした運動靴で無いと入山させてくれません。ビジネスシューズなどではこの受付所で脱がされ、わらじを買わされますので(笑)必ずハイキングの装備・服装で来てください。
さて、いよいよ投入堂への参拝道に入ります。
参拝入口
帰りはここで輪袈裟を返して下山時刻を記帳する
忌穢不浄輩禁登山の石碑
一応当てはまらない事にしておこう(笑)
野際稲荷
境内とはいえ仏寺の修行道になぜかお稲荷さんがある
かずら坂
さて、いきなり最初の難所かずら坂です。木の根が網のように這っておりかなり急勾配になっているところを木の根をつかんだり足を掛けながら登ります。すでに汗がにじみます。
くさり坂
くさりで登らずとも横にも道があるがどちらがよいのだろう
パンフレットや観光案内などではこのくさりを伝って登る坂がよく紹介されているのですがま あ、ここを上り下りせずとも側道があるので気にせずに進んでください。ただし側道も上り下りはスリル満点です。
文殊堂(重要文化財)
くさり坂の横がこの重要文化財指定されている文殊堂です。崖の上に引っかかるようにして作られた舞台造の建物で建物の周囲を回廊として一周できるようになっています。ただ、上がり口と反対側は当然、断崖の上で下を見ると思わずこわばりそうになります。高所恐怖症の人は絶対無理です。
平岩
怖くて手振れしているわけではない
文殊堂からすぐこの途中に割れ目のはいった岩を渡らなければなりません。左右は崖です。落ちれば死にます。写真には写っていませんがこの左側には過去転落した人が居るという但し書きがあります。
地蔵堂(重要文化財)
さらに登ると文殊堂と同じく崖の上に地蔵堂が建っています。こちらも外周が回廊になっておりぐるりと一周できますが、やっぱり足がすくみます。
地蔵堂を後にしてさらに進むと鐘楼堂があります。この訳の判らない険しい山奥にどうやってこんな重い鐘を運んで設置したのかが全く持って謎です。記録に無いのが不思議なくらいです。きっと役行者(えんのぎょうじゃ)が超能力か何かで運んで設置したに違いありません(笑)。
鐘楼堂(しょうろうどう)
それほど小さい鐘ではない
重さは800貫(約3トン)あるという
牛の背馬の背
鐘楼堂を後に進むと次の難関が待ち構えています。牛の背馬の背です。アルピニストの方々にすればヘタレな位の尾根ですがこの歩く幅の狭い岩をバランスを取りながら進みます。
納経堂(重要文化財)
観音堂
元結掛堂
岩のくぼみにひっそりと佇む納経堂前を通りと観音堂の裏を回り、元結掛堂の前を通って進みます。このあたりからほぼ平地になり登る事はありません。
不動堂
開けた先に崖に引っかかるように小さな不動堂があります。その横にあるさらに広い崖の窪みの法面に国宝の奥院である通称投入堂が引っかかっています。
奥院(投入堂)
まさに引っかかっているとしか言えない設営状態
本尊は蔵王権現(重要文化財)である
写真などでご覧になられた方も多いかとは思いますが、まさにこの通り。でこぼこの崖の法面に設営すべく足の長さは不揃いで、柱の立ててある岩がわずかに削られて乗るようにしてあるだけで、この場所にお堂を建立する理由が全く見当たりません。役行者(役小角:えんのおづぬ)が法力を持って投げ入れたと言われても納得してしまいます。
現存確認できる日本最古の神社本殿形式の建物だそうです。
大概の人はこの光景を見てあっけにとられ参拝するという目的を忘れてあぜんとなり、ひとしきり感心して帰ってしまいます。お参りなんですから一応手を合わせるぐらいはしてから帰りましょう。
さて、来たからには帰らなければなりません。我々俗人は二本の足で歩いて下山しなければなりませんので、ひたすら歩いて帰ります。当たり前ですが来た道で帰らなければなりませんので、今来た上りが下りになり危険度を増す所と安全になる所があり、また軽く汗をかきながら下山してゆきます。
往復、2時間以上は覚悟した方が良いかと思います。途中地元の方が交通整理をするほどの人出がある日もあり、朝一番などはかなり混雑します。
また、それなりに危険ですので、長袖長ズボン、軍手と運動靴で入山するのが良いと思います。
実際に手を使わなければ登れない箇所もありますので、軍手はあった方が重宝しますし安全です。
観光化しているとはいえさすがに修行道。厳しい道のりでした。