以前にも書いていますが、配達の時間というのは決まった時間ではなく、配達のルーチンの中で決まる時間であり、このお客さんは何時に配達と決まっている訳ではないわけです。
しかしながら、通常の業務であれば概ね時間帯は自ずと決まり、同じような時間で配達に回るため配達に訪れる時間が決まったように感じる訳です。ただ、通常の業務が巧く進まない場合はそうはいきません。
【配達遅れ】
客「いつも○時位にきてくれてはるんやけど、今日はだいぶ遅なっても来はれへんねんけど?」
局「申し訳ございません。○○のため遅くなっている様です。」
もしくは
局「申し訳ございません。○○があり、出発が遅れており、配達が遅れております。」
と、いった会話がなされる訳なのですが、○○の理由というのをいくつかあげてみましょう。
●郵便物が多い
定期配送がかかる郵便物である雑誌類などの第三種郵便がまとめてある日や、通信教育等の一斉配達がかかった日、また通信販売等も一斉に配送にかかるので配達日が集中します。これらのような取り扱い郵便物そのものが多い場合は、どうしようもありません。
捌き切れる人員がそもそも不足している状態ですので、上述のような郵便番号自動読取機にかからない定形外の郵便物が通常量より多いと人海戦術になってしまい時間がかかります。配達して回る方も小包等は受取確認をしますので時間がかかってしまい、回りきれなくなりますし、かさ高い郵便物が多いと一回で持ち出し出来る郵便物が限られますので何度も局まで往復することになり、これまた時間がかかります。
不可抗力の一例でしょう。
●道が混んでいる
五十日(ごとび)、いわゆる五十払いにかかる5の付く日や10・20・30などの10の付く日は関西では支払いに充てる日が多く集金等の決済で営業等が出るため道が混みます。銀行振込等になって解消はされているはずですが、顔出しだけもあるせいか、なぜか関西では混み続けます。
あと、雨などの荒天の場合も道が自然と混みあいます。
その他意外ですが「開かずの踏切」で郵便集配車が遅れることもよくあるようです。
このような状態では郵便収集車/配達車/配達バイクなども混雑の影響を受けるため配達に時間がかかって遅れ気味になってしまいます。これも不可抗力ですね。
と、ここまでは郵便局だけではどうしようもない原因です。
●お客とのトラブル
無ければそれで良しですし、無いに越した事は無いのですが、お客さんから様々な理由でクレームが来ます。もちろん正当な苦情もありますが、言いがかりのような物も少なからずあり、担当者が直接謝りに行ったり優先して再配達に回ったりする事で配達ルートの順序が変わってしまい、時間がずれます。
郵便物が毀損していたりしても配達の段階で破れたりすることは非常に少なく、その殆どは区分機を通した時とかの事故や、局内での扱いが雑だったりする(もちろん局に到着時に既に毀損している場合もあります)のが原因です。これに腹を立てたお客さんが怒鳴り込んでくればそこで仕事がストップして、残りが遅くなります。
●区分ミス
局内で配達に出るためには、到着して配達すべき郵便物を配達地域ごとの区分を行い、予め決めておいた配達ルートにそって順序良くまとめてゆきます。この時に区分されている郵便物中に他の地域の郵便物が混入していると、配達員は大変困る訳です。他の担当地域の郵便物が混入していると、配達をぐるっと回り終えて局に戻り、該当班に渡すまでは自分の配達が優先ですので混入郵便物を戻せません。混入された班はやはり想定ルートと異なる郵便物を割り込まされますのでまた配達に時間がかかります。
ちょっとした仕事ミスが連鎖的にお客様の迷惑に繋がる訳です。なんとかしなければなりません。
●配達準備ができていない
郵便物は収集車や他の局から到着すると定型郵便物は自動区分機等に掛けてある程度の地域ごとに区分分けされます。そこから、配達地域のさらに小さな住所区分に分けられて、配達ルート順に沿ってまとめあげて配達に出ます。配達する担当はこの配達すべき郵便物が回ってこない事には配達に出れず、結局お客さんのところへ回る時間が遅くなった上に配達するための時間が圧縮されます。
この区分に存外の時間がかかっていたり、区分機が故障したりするとこのような状態になります。お客さんは待つ、電話がかかって来る、郵便物は無い。配達の人にとっては精神的に良くない状態ですね。
さらに、言い訳にならないのですが、局内の事情で配達が遅れる事も。
書留や特別送達等は特種、小包・大型郵便は荒物と呼ばれ、定型の通常郵便物と異なるルートで配達担当に届きます。これらを一斉に配達ルート分を全部持って出れば、1回の巡回で配達が完了する訳ですが、どういうわけかこれが全部一斉に上がってこない事があり、配達員は揃うまで待つ事しばし。「あまりにも遅い!」となるととりあえず揃っている分だけで持って配達に回り、急いで帰って次に上がってきた物を持って出るという忙しい状況に陥ります。局内の業務連係がうまく動いていないのが原因でお客さんにははなはだ迷惑な話です。
他にもいろいろとありますが、配達員が事故したりすると事故処理や代員の手配などでまた配達が遅れます。しかし配達している人だけが遅配の原因の全てではありません。どちらかと言えば、それ以外の原因が殆どの場合が多く、上述のような局内の事情だったり、部局内のミーティングだったり、上司から言いつけられた雑用に追われたり、云々。配達員の配達が遅い訳ではなく、それ以外の様々な原因で配達員が持って出るまでのトラブルも全て配達員が謝って回る事になってしまっています。自分の仕事範囲で遅れた訳ではないので大変かわいそうです。
郵便物、急がず慌てず気長に届くのを待つ通信・配送手段と割り切ってみましょう。そうすると、「また、遅れとる。」が「ああ、きょうはゆっくりしてはるね。」と見方が変わる事でしょう。