アナログIC系パワー・アンプ

 デッドストック部品の活用。

TA8201Kアンプ基板
 TA8201Kアンプ基板
 基板のみで製作中

 随分前に一度製作しているのですが、最近の自分のトレンドに合わせてモジュール基板化して構成し直しました。
 TA8201AKはすでにディスコンですので今更の入手は厳しいでしょう。手っとり早いのは海外サイトぐらいでしょうか。中華なサイトでちょっと商品検索したところTOSHIBAのロゴの無いデバイスがぞろぞろ出てきたりして真贋が相当怪しいですが入手できない事は無さそうです。
 このICは外部必要部品も少なく、高温・過電圧保護回路に加えて出力短絡やGNDおよびVCC直結などに対するASO保護回路も搭載されているので多少取り扱いに失敗してもデバイスが破壊しないよう設計されている優秀なデバイスです。
 モノラルアンプのデバイスなので片chで1枚の基板にして2枚1組に。
 ゲインは内部プリアンプの非反転増幅回路のマイナス側(pin 2:NF)にコンデンサだけを接続すると最大ゲインの状態になりかなり大きくなります。内部回路で非反転増幅回路の増幅値を決める抵抗値のR1は3kΩ、R2は130Ωとなっていますので外部接続抵抗を\(R_f\)とするとゲインはオペアンプの非反転増幅の増幅率と同じ以下の式で求められます。 \[G_{V1}=20log\frac{R1+(R_f+R2)}{R_f+R2}\text{(dB)}\tag{1}\] 全体ゲイン(\(G_V\))は出力最終段のBTL出力アンプのゲインが\(G_{V3}≒G_{V4}≒\text{20dB}\)なので \[G_V=G_{V1}+G_{V3}+6\text{(dB)}\tag{2}\]となって\(R_f=\)0Ωの時は約54dBとなります。
 今回は560Ωを直列に入れて約40dBまで下げました。これに伴い入力のコンデンサをアプリケーション回路記載の値である4.7µF→3.3µFへ、負帰還用のコンデンサを47µF→33µFへ変更しました。
 前回は高級部品を使いましたが、今回は極力手持ちを最大限に活用して製作。とはいえIC周辺の音に関連する部分にはnichicon FWを使用しました。

電源基板
 電源基板

 このところの製作方法に合わせてスイッチ対応の電源強化基板を合わせて製作。今回はモノラルアンプ2ch構成なので電源基板からの電源出力を2系統にしました。
 電源回路のデカップリングコンデンサーは手持ち品でnichiconの低インピーダンス品であるKYシリーズの1000µF/25Vを選定しました。デカップリングコンデンサーを大きくしすぎると元電源がスイッチング式の電源の場合、突入電流の影響で立ち上がって来ない場合があるのでこの程度で我慢です。

 もともと車載用を目的としているのかデータシート記載の特性の電源電圧は13.2Vがメイン。自分が運用想定している12V電源では最大で7.5Wぐらいまでと17W(14.4V動作時)まで出せるのにちょっと惜しい感じ。しかし一般家庭内で音楽再生するのであれば出力は1〜2Wもあれば十分なので17Wはオーバースペック気味かもしれません。加えて1〜2W程度の出力における運用であれば放熱器も不要の範囲になります。

 最近はデジタルアンプ全盛ですので久しぶりにアナログ系パワーアンプICの音が聴けそうです。

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