ひさしぶりに金属筐体も含めてまともに作った感があります。
3石ヘッドホンアンプ
こちらのサイトで紹介されていた3石トランジスタディスクリートのヘッドホンアンプを作ってみました。
今回筐体製作でトライしたのはパネルの「なんちゃって」ヘアライン加工。
一度#600ぐらいの耐水ペーパーで加工時についてしまった細かい傷や表面の光沢を落とした後で、台所用のステンレスたわし使ってを慎重に一方向にこすりつけて動かします。動かす方向が歪んだり曲がったりすると奇麗なヘアライン跡になりません。
なんちゃってヘアライン加工ですが、このままではアルミ地金と変わらないのでクリア塗装をした方が良いかもしれません。意外と触った部分に指紋がついて目立ちます。
基板部分
基板の部品レイアウトはサイト掲載の通りなのですが、電源周りの配線は一部変更してあります。基本的に仮想グランドの分圧抵抗→デカップリングコンデンサの順に接続されていた方が良いかと思います。
あと、部品面のジャンパ配線も横着して裏側のハンダ面で絶縁チューブを使って配線しています。
部品は電源のデカップリングと、出力のDCカットのコンデンサをそれぞれFWとJovialにしただけでそれ以外は全くの一般品ばかり。出力のトランジスタ(2SA950 / 2SC2120)もhfeを選別したりしていませんし、抵抗は誤差5%のお安い通常品カーボン抵抗。
ダイオードは手持ちで大量にあった1S2076Aと、ショットキーバリアダイオードも手持ちだった1S3です。VFの選別もしていません。
電源コンデンサも一般向けのものにすると、簡単に手に入るお安い部品ばかりです。
入力のカップリングコンデンサ(2.2μF)がECQVなのは実装面積を小さくしたかっただけでサイズ的に許せるならMUSE BPでも構わなかったかもしれません。
音出しの感想ですが、非常に「奇麗な音」でした。
低域から高域までフラットな印象で、くせもなく刺々しさも無く優しい音です。オペアンプならLM49721を使った時のようで、「優しい」でがありますが決して「丸い」とか「こもった」音では無く素直な音です。
聴いていて心地よい音ですね。
当初、ケースが電源からも信号ラインからも全てGNDから浮いているためシールド効果が無かったのか、適当にパネル付けしていた状態ではハム音が聴こえたりしたのですが、パネルのネジをしっかり締め付けてやると消えました。
電源GNDをケースに繋いでおいた方が良いかもしれません。
意外とゲインがあるため、iPodのライン出力をフルボリュームにするとヘッドホンアンプ側の音量調節ボリュームが始めの方の位置になってしまい、入力する信号レベルは低めの方が良いかもしれません。
以前に製作して常用しているYAHAアンプ同様に常時使用のヘッドホンアンプになりそうです。
以前に製作したYAHAアンプは真空管らしさを出すために真空管を思い切り外に出していて、実際に(ごちゃごちゃした)机上では、真空管をひっかけたり物や手が当たったりしそうでビクビクしているので、これで取り外して入れ替えを行い、筐体内に内蔵したバージョンで作り直すことができます。
涙なトラブル(オマケ)
実は組み立てた後に音が片チャンネル出ず、相当悩みました。電圧を測ると初段の後からすでに12V近くあり、動作点を通り越して完全飽和動作なオン状態。
シグナルトレーサーやシグナルインジェクターまで持ち出して調べてみるも全くうんともすんとも。配線の間違いやハンダ付け不良などは全て見直し。出力段のトランジスタを外しても初段出力がすでにおかしい状態で初段のトランジスタも交換したのですが動作せず。
やはりこういう時は煮詰まっているのか、他の人に見てもらったらすぐに不具合が見つかりました。基板レイアウトを自分で作っていなかったため、それが完全な思い込みに繋がりました。
部品レイアウトが左右対称に配置された美しいレイアウトだったのですが、初段の2SC1815だけ左右のチャンネルで向きが逆だったのです。もちろん間違って逆付けしていたチャンネルが不具合のあったチャンネルで、トランジスタの向きを逆にして実装し直すと正常に動作しました。
やはり人間、思い込みの「正しいはず」で見てしまうと、簡単な間違いを見逃すという良い教訓になりました。
とほほ…